「ミニマリスト」という言葉を流行させるきっかけになった本
「ミニマリスト」という言葉は今やほぼ常識的に世の中で使用をされるようになっています。
しかし急激に有名になったのは「ぼくたちに、もうモノは必要ない。-断捨離からミニマリストへ-」という佐々木典士さんの本が出版されてからです。
この本はそれまで流行していた片づけノウハウ本ブームの中にあってもかなりインパクトのある内容で、出版とほぼ同時に公開されるようになった著者の佐々木さんのライフスタイルも大きな注目を集めました。
本の冒頭では佐々木さんの他に「ミニマリスト」として生活をされている世帯の部屋を写真付きで紹介をしており、その中に登場する室内はまるで引っ越しをしたばかりの何もないガランとした空間となっています。
それ以前までは片づけといえば「断捨離」という言葉が一般的なキーワードになっており、いかにしてモノを捨てるかといったところにばかり注目が集まっていました。
ミニマリストというのはそうした断捨離を突き詰めていった最終形態といって良いスタイルをする人のことであり、究極までものを持たない生活をするとこうなるということを示しています。
片づけを超えた人の心の流れを示す
本の内容をかいつまんで説明をすると、全編を通して語られているのは「どんなものでもいつかは必要なくなる」という考え方です。
従来までの断捨離というのは、それまで数多くのモノに囲まれ生活をしてきたところを「必要なもの」と「必要ないもの」に分類し、不要と判断したものはどんどん捨てるようにするという考えによるものです。
こうしたものに囲まれた生活を著書では「マキシマリスト」と表現しており、たくさんのモノに囲まれた生活はそれだけで時間やエネルギーを吸い取られ、気持ちを乱す原因になっているといいます。
これは品物を購入するとそれによって喜びがあり、時間の経過とともに興味がなくなっていくという気持ちの流れがあるからです。
またそれまで持っていたモノを捨てるときにはどうしても執着心を覚えてしまうので、それが「捨てる」という行為によるエネルギーの消失になるといいます。
著者である佐々木さんは身の回りのものをすっかり捨てることができるようになるまで7年かかったといい、現在ではわずか150ほどだけの品物で生活ができるようになったということです。
ミニマリストは持っているものを捨てて生活をするのではなく、そもそもとしてモノを持たないようにすることで心のエネルギーがなくなることを防ぐということが思想の根底となります。
このことこそが人生を幸せなものにしてくれると本の中では言っており、無欲なミニマリストになることで価値観が変わるということを世界各国の事例を元に示しています。